日本大学文理学部を会場に過日開催された第57回大会の総会において、会長就任をご承認いただきました。微力ではありますが、古賀一博・前会長よりバトンを引き継ぎ、精一杯学会運営に努めて参りたいと存じます。事務局長を橋野晶寛会員(東京大学)にお引き受けいただき、事務局を広島大学から東京大学に移転いたします。小入羽秀敬会員(帝京大学)、宮口誠矢会員(東京大学大学院)には幹事として会務にあたっていただくことになりました。会員各位におかれましては、これまでと変わらず、学会活動に積極的にご参加いただくとともに、新たな運営体制へのご支援を賜りますよう、どうぞ宜しくお願い申し上げます。
さて近年、「責任ある研究・イノベーション(RRI)」という言葉が流布されるようになり、知の創出基盤である学術研究の在り方が社会性・公共性・倫理性という観点から問い直されるようになっています。もとより教育行政学は、教育行政の基本原理及び構造・過程・作用の学術的解明を通じて、子どもとおとなの教育を受ける権利という公共的価値の実現に貢献するという社会的責任を担ってきましたが、教育における公共性自体の再検討(Cf. 年報45号)も含め、「責任ある研究」としての教育行政学というものを改めて意識的に問題化する必要に迫られているように思います。一例をあげるだけでも、少子化(人口変動)、貧困・格差・排除、デジタル・データ化、コロナ禍など教育と密接に関わり合う社会変動あるいは課題に対し、何を主題として、どのような方法でアプローチするのかという点で教育行政学の社会的責任が問われています。学会として、会員の個人研究、及び国内だけでなく国際的な共同研究の活性化に資する様々な手段と機会を講じることで、この責任に応えていければと願っています。
今期の学会運営において特に重視していきたいのは、古賀前会長の方針を継承し、大学院生を含む若手研究者が創造的な研究に取り組むことができる体制、環境を整備することです。若手研究者には、国内にととまらず、ぜひ国際的な舞台で活躍して欲しいと願っています。また、女性研究者の支援にも積極的に取り組んでいきたいと考えます。幸いなことに、本学会には将来性豊かな若手研究者、力のある女性研究者が少なくありません。当事者の声を聴き取り、現在の支援体制の更なる充実・発展方策を検討して参ります。若手・女性研究者支援は学術政策の方向性でもあり、それは歓迎すべきことですが、一方で、昨今の学術研究環境を全体的に見るならば、多忙化や雇用・身分の不安定化、基盤的研究費から競争的研究費へのシフトなど、課題も多いように思われます。本学会が単独でできることには限りがありますが、他の学術機関・団体とも連携し、このような学術研究環境をめぐる課題にも取り組んでいければと考えています。
第20期 会長 勝野 正章
この度、勝野正章会長の下、第20期事務局長を拝命いたしました。この原稿の執筆時点では事務局業務の引継ぎは完了しておりませんが、この3年の間に前事務局長の滝沢潤先生、幹事の吉田香奈先生、小早川倫美先生が円滑な学会運営に尽力されてきた姿を拝見してきたこともあり、重責を引き継ぐことに身の引き締まる思いがいたします。
私個人としては、今まで大学院生時代も含めて学会事務局運営に関わった経験がなく、やや不安なところもあるのですが、事務局長経験者でもある同僚の勝野正章先生、村上祐介先生に、ご助言をいただきながら事務局運営を進めていく所存です。
また今期事務局には、事務局幹事として小入羽秀敬先生、宮口誠也先生に加わっていただきました。お二人にご助力いただけること、非常に心強く感じております。
これまで事務局を担っていただいた先生方のご尽力により、業務の大幅な効率化が図られてきたように思います。そうした恩恵に与りつつ今後の学会の更なる発展のために精一杯努めて参りたいと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
第20期 事務局長 橋野 晶寛